ストキャスティクス(STC)

ストキャスティクス(STC)の基本

 ストキャスティクスは米国のチャート分析家であるジョージ・レーンが考案したオシレーター系のテクニカル指標で、過去の価格レンジを基準に相対的に現在の相場がどの位置にあるかを0~100%の数値で表します。%K(Kライン)と%Kを滑らかなにするために3日間の平均で修正した%D(Dライン)という2本の線が相場の相対的位置を表しており、その2本の線の絶対水準や相互の位置関係から買われ過ぎ、売られ過ぎといった市場の過熱感を知り、売買シグナルを求めます。

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ストキャスティクス(STC)の使用方法

 ストキャスティクスも他のオシレーター系指標同様に、%Dが70%以上で買われ過ぎゾーン、30%以下で売られ過ぎゾーンであり、特に85%以上での売りシグナルや15%以下となった場合の買いシグナルの信頼度は高いとされています(①)。

 %Kと%Dの線がクロスすることによる売買シグナルも重要です。①を満たした状況で、上昇転換した%Dを%Kが上抜いたり、反対に下降転換した%Dを%Kが下抜いたりしたときが売買のポイントとなります(②)。更に同水準で3回上抜き、もしくは下抜きを繰り返すと更に信頼度が高まるとされています(③)。

 ストキャスティクスにおいても逆行現象は中長期的なトレンド転換を示唆しており、重要な売買シグナルとなります。詳しくは「逆行現象によるRSIの応用」をご覧下さい。

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ストキャスティクス(STC)の計算方法

%K = [ ( C - L5 ) / ( H5 - L5 ) ] × 100
%D = ( H3 ÷ L3 ) × 100

C = 直近の終値 L5 = 過去5日間の最安値 H5 = 過去5日間の最高値
H3 = ( C - L5 ) の3日間の合計 L3 = ( H5 - L5 ) の3日間の合計
%K、%Dの期間の取り方は様々ですが、一般に%K5日間、%D3日間が基本となっています。

スロー・ストキャスティクス

 %Kと%Dという2本の線を用いたストキャスティクスでは%Kの変動が激しいため見た目に判りずらく、ダマシも発生しやすい傾向にあります。そこで通常のストキャスティクスにおける%Kの役割を%Dに、%Dの役割を新たにスロー%Dに代えてた「スロー・ストキャスティクス」という手法が考案されました。

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スロー・ストキャスティクスの使用方法

 ストキャスティクスの%Kと%Dの関係を、スロー・ストキャスティクスの%Dとスロー%Dにおいても同様に用いることができます。ただし%Kの値動きに対する過剰な敏感さとそれに比べた%Dの遅効性を考えると、スロー・ストキャスティクスにおいて③は有効なシグナルとはいえないでしょう。

スロー・ストキャスティクスの計算方法

 %Dの算出方法は、ストキャスティクスにおける%Dと同様のものです。スロー%Dは一般的には%Dの3日移動平均が用いられます。